翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?

予想以上にビッグウェーブが早く来て、泣かれそうになっておたおたしてる俺って超絶ださい。


「ずっと、謝りたくて……ごめんなさい、私が……無神経だから、うぐっ、ごめ、んね」


「いや、ちゃんと話聞こうとしなかった俺の方が圧倒的に悪いから。ごめんな。もうわかった、すべてわかったから」


「だって……だって、うっ、ぅ」


「辛い思いさせて、最低だな俺」


泣きたい気持ちと闘うときの美緒の癖を思い出した。一直線に口を結んで、瞬きひとつ、我慢して。


そんな顔させないからって、ガキの頃の俺が決意したことを思い出した。
次から次に思い出した。


「……はい」


両手を広げてみる。飛び込んできて欲しくて。


「っ、うっうっ……」


「ほら、来いって。ずっと待ってんのバカみたいじゃん」


「翔ちゃん……」


「いいよ、ここでなら……いくらでも泣いていいから」


< 322 / 347 >

この作品をシェア

pagetop