翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?


「勝手に決めつけんな、あと人で遊ぶな!」


この人は他人の気持ちを(おもんばか)るということを知らないんだろうか。


「そんなんだから嫌わるのよ。はい、あんたは美緒ちゃんに嫌われた。ついに嫌われたー」



姉貴はさじを投げるように持っていたペットボトルのふたを雑に外して、おっさんがカップ酒を飲む格好で水をあおっていた。


「言い返したいとこだけど、もしかしたらそうかも」


美緒の様子がずっとおかしいことを、この人に相談するべきか……迷った末に口火を切ってしまった。


「なにそれ、どういう意味か50字以内で端的に説明しな」


さらに水を飲もうとした動きが止まり、姉ちゃんの眉間に深い皺が寄る。


「説明も何もめちゃめちゃ拒否られてて……なんでだろ」


「なんでだろ、じゃねぇわ。
知れ!知ろうと努力しろタコ!乙女心検定があったらおまえは最下位、まさに底辺!這いつくばって地べたでも舐めてろ」


……乙女心検定って……何。
言いたいことだけ言ってしまうと腕組をして姉ちゃんは黙りこんでしまった。


< 48 / 347 >

この作品をシェア

pagetop