翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?

「幼稚園くらいだっけ。涙にフタしてやるってこうやったらほんとに泣き止んでさ。
泣き声デカいからみんなオロオロだったんだよな、すげー近所迷惑だし」


そう言いながら頭をそっと撫でててくれた。


「窒息しそうになってたんだよ、翔ちゃんあの頃から力強いんだもん」


照れ隠しに意地悪なことを言ってみるけれど、彼にもう2度と触れることができないかもしれないと思ったら、悲しみが波のように押し寄せてなかなか引いてくれない。


「ごめん、苦しかった?」


すぐに力を弱めてくれる優しい翔ちゃんを解放してあげなきゃいけないのは私の方。


翔ちゃんがほんとうに好きな人と
恋ができるように。


だから、私こそ
この気持ちにフタをしなくちゃ。
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