無口な彼の熾烈な想い
「こっちの方が可愛くないか?」

どさくさ紛れに自分の写真も撮られてしまったことに気づかないお間抜けな鈴は、いつになく雄弁で笑顔の絢斗に、すっかりなつこうとしていた。

「こっちはミミズク、アフリカオオコハノズクですね。まだ子供かな、ちっちゃくて可愛い」

止まり木に止まってこっちを見ているのは、

グレーの毛並みにオレンジの目、大きめの黒い瞳孔。

眉間から三角の形に伸びる髭のような毛が特徴の可愛らしい鳥だった。

浮角と呼ばれる耳毛を頭の両端に持っているのがミミズクの特徴だ。

絢斗が腕を曲げて持ち上げると、アフリカオオコハノズクのコハちゃんは、グルリと270度首を回したあと、少し考え込んでその腕に乗っかった。

「絢斗さん、お似合いですよ。ヨーロッパの貴族みたい」

日頃はどんくさいと言われる鈴だが、やはり尊さの前では俊敏になる。

シロちゃんを止まり木に帰すと、すかさず己のスマホを取り出し、絢斗とコハちゃんを写真におさめた。

「フクロウとミミズクは違うのか」

「浮角と呼ばれる耳のような毛があるのがミミズクで、ないのがフクロウです」

鈴は、無意識に絢斗の体に張り付くと、アフリカオオコハノズクのコハちゃんの頭をゆっくりと撫でた。
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