離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
マンションに帰り、夕食のあとお風呂を済ませた私は、ソファーの背もたれにもたれかかり手の中のマグカップを見つめていた。
視界の端に黒い影が現れ、私の身体が一瞬わずかに傾く。
お風呂から上がった高城が、隣に腰掛けてきた。身体が今にも触れ合いそうな距離に、私はなんとなくその場に座り直す。
「まつり。なにかあった?」
突然尋ねてくる高城に、私は小さく驚きの声を上げた。
「……どうしてですか?」
「なにか考えごとをしてるようだったから」
身に覚えがあった私は、マグカップをテーブルに置いてなんでもないように笑顔を作る。
「すみません。少しぼーっとしてただけです」
麻有ちゃんと話してから、昨夜の事態もあり、私は警戒態勢で店を出た。