離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
 今日も夕方過ぎに帰った男性は、私が二十時前に店を出ると、昨日と同じように店のそばに立ってこちらを見つめていた。

 声をかけられたり、着いてこられたりしたわけではない。ただその場から見てくるだけだったが、やはり昨日店の前にいたのも偶然ではなかったのだと実感した。

 そして、いつか行動がエスカレートしないとも限らない。そのうち家まで着いてこられたらどうしようと、私はおののいた。

 そのことが気になって、高城がお風呂に行ってひとりになった瞬間に、つい考え込んでしまっていた。

「言いたくないならそれでいい。でも、なにかあったらいつでも頼ってほしい。君のためならどんなことでも力になるから」

 言い終えた高城に、肩を抱き寄せられる。反射的に私の心臓は大きく跳ねた。お風呂から上がったばかりの男の身体は陽だまりのように温かく、心がほどけていくのを感じる。

 途端に眠気に襲われるけれど、私は我に返ってここが高城の腕の中だというのを思い返した。
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