離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
 先ほどあんな目に遭ったせいか、ひどく動揺していた。

 私はこの男にどんな答えを求めていたのだろう。

 すると、突如視界が暗くなり、唇に柔らかな感触が訪れる。それは触れるだけで離れ、みるみるうちに高城の整った顔が目の前に浮かび上がってきた。

「君が俺をどう思っていようと、俺は君が好きだよ。だからもっと俺を頼ってほしい」

 高城が、私から視線を逸らさずに言う。

 私を好き?

 心が震えるような感覚になった。

 私が長い間、この男から一番聞きたかった言葉だった。

 よかった。作戦は順調に進んでいる。あとはもっとこの男を私に夢中にさせて別れを切り出せば、すべてが終わるんだ。

 父の顔が頭に浮かび、心から嬉しく思う。
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