離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
「今日のお昼、カフェへ行ったんだ」

 男は私と目を合わさずに、ぽつりと言い捨てた。私は話の流れがわからず、きょとんとする。

 そんな私の様子に気づいたのか、近づいてきた高城がこちらを覗き込んだ。

「君が親しそうに話していた男の人は誰?」

 その言葉に、私の脳内はさらに疑問符でいっぱいになる。

 親しそうに話していた男の人? 些細な会話はしても、接客中にそれほど話し込む機会などない。いったい誰の話をして……。

 考えを巡らせていたところで、閃くように思い出した。

 まさか、郁実のこと?

 今日だとしたら、思いあたるのは郁実くらいのものだった。

「多分ですけど、悠人さんが思っている男の人は私の幼なじみです」

 私がそう発すると、高城は「……彼が」とつぶやく。
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