離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
「身体を重ねていても、いつも心が離れているような気がするんだ」

 その言葉に、私の心臓がどくんと音を立てる。

「そんなこと――」

「本当の君を見せてほしい。どうすれば君の本心を覗けるのかな」

 泣き出しそうに言い放つ高城の声が、私にも沁みてくる。切なさに胸が突き上げられ、私は頬にあった男の手を解いて首を垂らした。

「ごめんなさい。やっぱり疲れているみたいなので、今日は先に寝ますね」

 椅子から立ち上がり、寝室へと駆け込む。

 ベッドに突っ伏し真っ暗な部屋で心を落ち着かせようとするけれど、目を背けようとすればするほどその想いは私の胸の中で膨れ上がってきた。

 やめて。気づきたくない。

 閉じ込めようとあがく。しかし、端を覗かせた感情は今にも溢れ出してしまいそうだった。

 高城を思うと、息苦しくて堪らなくなる。離れると胸が焦がれて、触れられると心は簡単に舞い上がった。
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