離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
 父の命日に真実を伝えてくれた悠人さんのお父様には、あれからすぐに今までの無礼を謝罪しに行った。

 許してもらえるまで誠意をもって対応しようと覚悟していた私を、悠人さんのお父様は咎めるどころか『私のほうこそ長い間君を苦しめていてすまなかった』と頭を下げ、私が止めてもなかなか頭を上げてくれなかった。

 悠人さんのお母様ともお会いして、ようやく四人で顔を会わせることも叶った。

 悠人さんのご両親も私たちの結婚をとても喜んでくれて、その日は私にとって忘れられない一日になった。

 そして悠人さんのご両親は、今日の結婚式も待ち望んでくれていた。

 私たちが式を挙げるのは、神奈川県の『ホテルシュペリユール』が所有する、丘の上にあるチャペル。

 自然に囲まれた場所にあるクリスタルのチャペルは天井や壁から光が差し込んでいて、ブルーのバージンロードが祭壇に向けて続いている。
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