離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
 想いを確かめ合ってから『もう遠慮はしないから』と宣言した悠人さんは、その言葉通り私に惜しみなく愛情をそそいでくれていた。

 恋愛初心者の私にも手加減はなしで、彼は抱えていた想いを思う存分ぶつけてくる。

 テレビを見ているとほとんどの確率で隣にやって来ては膝の上に座らされるし、隙を見て洗い物をしているとうしろから抱きついてくる。

 きっと、私があたふたする様子も楽しんでいるのだと思う。

 この前温泉旅行に行ったときは、温泉街をふたりで手を繋いで歩いた。

 露天風呂のついた豪華な部屋で、『一緒に入ろう』と言う悠人さんに私が『恥ずかしいからダメです』と抵抗しても、結局担いでお風呂まで連れられてしまったし……。

 慣れないことばかりで毎日戸惑ってばかりだけれど、悠人さんと過ごす時間は幸せに満ち溢れていた。

 とくに私は、悠人さんのこの笑顔に弱い。恐らく私しか知らない彼の表情だと思うと、どうしようもなく愛おしかった。
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