離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
「あぁ。本当に誰にも見せないでこのまま閉じ込めたくなってきた」

「来るのは身内だけじゃないですか」

「式はそうでも、チャペルに行くまでに可愛いと誰かに目をつけられたら困る」

「そんなことあるわけないじゃないですか」

 控室からチャペルはすぐそこだ。招待客以外が歩いているような場所ではないし、そもそも悠人さんならともかく、私がそんなふうに目をつけられるなんて考えられない。

 そう思っていると、悠人さんがわずかに屈んで私と目線を合わせた。

「あるよ。君は自分で思っている何倍も魅力的な女性なんだから。俺はそんな君を繋ぎとめるのにいつも必死なんだ」

 彼が困ったように笑いながら言う。

 ひたすら思慕の情を高まらせる私は、目の前の唇に一瞬だけ唇をあてた。おもむろに顔を離し、その驚いた顔を間近に見やる。
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