離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる

　まるで長年の友人のように話しているふたりの姿を、私も子供ながらおぼろげに覚えている。

　だが、シュペリユールと契約を交わして十年近くが経ったある日、事件は起きた。

　突然、契約が解除されたのだ。

　当時十五歳の高校一年生だった私は、どうしてそんな事態になったのかわからなかった。恐らく、父も同じだったはずだ。

　契約を解除するにしたって手順がある。十年にもわたり一生懸命店と両立をはかりながらシュペリユールに商品を卸してきた父に、あんまりな仕打ちだと思った。

　それから精神的にショックを受けたせいか、長年の無理が祟ったのか、体調を崩した父は半年ほどで亡くなってしまい、店も畳まなければいけなくなった。

　まだ学生だった私は、亡くなった母の妹である叔母の家に引き取られたのだ。

　そしてしばらく経った頃、叔母の家で偶然この男――高城悠人のインタビュー記事を目にした私はその内容に衝撃を受けた。