離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
 そこには、シュペリユールに入社したこの男が、社内で大幅な経営改革を行ったと書かれていた。

 そのとき一瞬ですべてを察した。この改革の中に、うちも入っている。父はこの男に切り捨てられたんだ。

 会社の利益のためなら無慈悲に契約解除を迫ってもいいの? 十年もの間真心で応えていた父があまりにも報われない。もし高城の父もこのことを知っていたのなら絶対に許せなかった。

 叔母の家のリビングで雑誌を読み終えたあと、私は部屋にこもって泣きじゃくった。

 私は、あの男のせいですべてを失ったのだ。

 インタビュー記事を読んだあの日。憎しみに心を覆われ、私は高城悠人に復讐を誓った。

 今日までこの男の顔を思い出さない日はなかった。

 幸い私は父とあまり顔が似ていない。この丸い目とぽってりとした唇、小柄で色白なのも母譲りで、父と同じなのは小ぶりな鼻くらいだった。
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