離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
『僕でいいの?』と言う叔父に『ぜひお願いします』と告げると、叔父は『ありがとう。じゃあ、正太郎さんと一緒に歩かせてもらうよ』と快く引き受けてくれた。

 私は、テーブルに並べて置いていた両親それぞれの写真に視線を流す。

 叔父のおかげで、父ともバージンロードを歩けるんだな。

 叔父の優しさが重ねて身に沁みた。

 叔母たちへ視線を戻した私は姿勢を正し、臍の前で手を組んで口を開く。

「叔父さんと叔母さんがよければ、ふたりを私のもうひとりの両親と思ってもいいですか?」

 叔母家族に引き取られ、お世話になっていた三年間。わが子同然に可愛がってくれたふたりには心から感謝していた。

 あの頃の私は、帰る場所があると復讐に迷いがでるかもしれない。これ以上叔母たちに頼ってはいけないと、いつも感情にブレーキをかけてどこか叔母たちと一線を引いて過ごしていた。

 叔母たちが何度も手を伸ばしてくれているのにも気づいていたのに、あえてその手を取らないでいた。

 本当は、私も心から『ただいま』と言いたかったのに。
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