離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
「今日は、付き合っていただきありがとうございました」
照明が落とされた薄暗い店内で、私はカウンターの隣の席に座る高城に言う。
ひと通り宴会場を回りパーティーを堪能した私たちは、ホテルを出てタクシーで十分くらいのところにある高城の行きつけだというバーへ来ていた。
やはり一流企業シュペリユールの跡取りだ。パーティーでこの男は、顔見知り、そうでなさそうな人にも何人も声をかけられていた。
私も隣にいたせいで何度か高城の恋人だと勘ぐられたけれど、そのたびにこの男は『今夜私が無理を言って付き合ってもらったパートナーです』と答えていた。
高城の本性を知っている私は、この男の紳士的な振る舞いを見れば見るほど苛立ちが募った。
そして帰りがけ、自然に次へ繋げるには……とひっそり考えをまとめていた私に、高城が『近くによく行く店があるんだ。君さえよければ今から少し飲み直せないかな』と誘われ、ここへ連れてこられた。