離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
 出てきた二杯目のカクテルに口をつけ、ほっと息をつく。心労のせいか急激な疲労感に襲われた。

 しばらくして、電話を終えた高城が戻ってくる。

「ごめん。お待たせ」

「大丈夫ですか?」

「あぁ。さっきのパーティーに参加していた父からだったよ」

 高城の言葉に、私の片方の眉がわずかに動く。

 あの場に高城の父も来ていたんだ。危なかった。この男とは違い、高城の父とは面識がある。万が一気づかれでもしたら計画は失敗だった。

「紹介したい女性がいたらしい。俺はこの前三十一になったんだけど、そろそろ身を固めろって最近顔を合わせればそればかりで」

「立場が立場なので、支えてくれる存在がいたほうがいいとお父様も心配されているんですね」

 私が言うと、高城は苦々しく笑った。
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