離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
「父は、守るものがあると覚悟が変わるって昔からよく言っていたんだ。でも、自分の守りたいものくらい自分で決めたいだろう」

「そうですね」

 そう答えながら、私は心の中で安堵する。

 この男に現在恋人はいないらしい。インタビューなどでもそう答えていたけれど、高城はルックスのよさから世間的にもかなり人気がある。

 企業アピールやテレビ的なことを考慮しているだけで、実は恋人がいるのではないかと気になっていた。

 関係のない人を巻き込みたくはないのでよかった。そして、親には結婚を急かされているなんてまたしても好都合だ。

 こんなふうにふたりでバーに来ているくらいだし、今のところこの男の私への印象は悪くはないはず。

 なんとかアピールして意識させれば結婚できる可能性もなくはないかもしれない。判断を間違えないようにしないと。せっかくここまで来たのだから。

 緊張で喉が張りつく。私は残っていたカクテルを静かにあおった。
< 32 / 204 >

この作品をシェア

pagetop