離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
 * * *

 広いリビングの真ん中に設置されたL字型のソファーにぽつんと座っていた私は、ゆっくりと辺りを見渡す。

  ここへ来たのは、バーで眠ってしまい高城に連れられたあの夜以来か。あのときはそれどころではなくて部屋の様子などほとんど覚えていなかったけれど、改めて見るとすごいマンションだな。

 急速に話が進んだせいで結局引っ越し当日まで再び訪れる機会もなかった。今日から私もここで暮らすのか。

 ここは高城が住む、都内を一望できる場所に位置するタワーマンションだ。

 そびえ立つガラスウォールでデザインされた重厚感をまとう堂々たる佇まいに、先ほどここが家だと紹介されたときは思わず呆然とした。

 高級ホテル顔負けのエントランスホールにはコンシェルジュがかまえていて、高城の部屋がある三十六階でエレベーターを降りても、中に入るまで空調が快適な温度に保たれた内廊下が続いていた。

 部屋に入っても驚異的で、二十畳を越えるリビングには大きな窓があり、ブラインドの隙間からたくさんの光が差し込んでいる。

 白の壁は一面だけ黒く、建てつけの飾り棚などもデザイン性が高くオシャレだった。
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