離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
 今朝迎えにきたときも思っていたけれど、休日の高城はいつもと印象が違うように感じられた。

 とくに風呂上がりの今は普段は無造作にセットされた髪がさらさらと下りているからだろうか、スーツではなくラフな恰好をしていると、実年齢の三十一歳よりいくつか若く見える。

 メディアではスーツ姿しか載っていないから、こういった自然体な姿を目にするのは初めてだった。

 あたり前だけれど、この男も普通に生活しているんだな。

「冷えるからこっちに来たら?」

 ぼんやりと考え込んでいた私は、その声で我に返って慌てて顔を取り繕う。

 立ち上がりこちらへやって来た高城は私の頭をポンと撫でると、「座ってて」とキッチンのほうへ向かった。

 いくらもしないうちに、そのまま突っ立っていた私のもとへ高城が水の入ったグラスを持って戻ってくる。
< 58 / 204 >

この作品をシェア

pagetop