離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
 あれだけ完璧に用意された私の部屋に布団やベッドがないことから私は、寝室は一緒なのかもしれないとなんとなく察していた。

 わざわざそれを口に出した高城は、これからなにか行動を起こすとサインを出しているのだろうか。

 私は息を呑み、持っていたグラスをキッチンのシンクに置いてから高城のもとへ向かった。

 寝室のドアが開けられ、パーティーで初めて会ったあの夜、記憶を飛ばした私が目を覚ました大きなベッドが薄暗い中にぼんやりと浮かんでくる。

 ここで一緒に寝るんだ。

 立ちすくみながらまじまじと見つめていると、突然手を引かれ、私は勢いよくベッドに倒れ込んだ。

 マットレスの上に身体が投げ出され、『痛っ……』とおもむろに目を開ける。

 すると、こちらを見下ろす高城の顔がすぐそばにあって、全身には重みがかかっている。この男に押し倒されたのだと一瞬にして気がついた。
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