離婚するはずだったのに、ホテル王は剥き出しの愛妻欲で攻めたてる
「うん。その青、まつりに似合うと思ったんだ。やっぱり凄く似合ってる。可愛い」

 女性従業員がいるというのに恥ずかしげもなく言う高城に、私のほうがいたたまれなくなる。

 こちらにやって来た高城は私の隣に立ち、腰もとで腕を軽く曲げてこちらを見下ろした。

「隣を歩けるのが光栄だ」

 躊躇う私がおそるおそるその腕に腕を絡めると、男は満足そうに顔をほころばせる。

 サロンをあとにした私たちは再びエレベーターに乗り、別のフロアに向かった。

 女性を自分の家が所有するホテルへ食事に誘い、ドレスやヘアメイクまでプレゼントする。スマートにこんな真似ができるなんて、以前バーでも思った通りずいぶん女性の扱いに慣れているんだな。

 シュペリユールの御曹司で、この整った容姿だ。今までだって数え切れないくらいの女性に言い寄られたに違いない。さっきみたいな言葉だって、この男にすれば挨拶のようなものだろう。

 免疫がないせいでいちいち反応してしまう自分が情けない。相手はこの男なのに。
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