異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!
「それで、彼女は大おばあ様のところに行くんですね?」

辺境伯様が、ルーチェさんにそう問いかければ、ルーチェさんはニッコリと微笑んで言った。

「そうしたいの。だからね、シーナを養女として辺境伯家に入れてほしいの。今後の万が一を、回避するために」

にこやかだけれど、ルーチェさんからは冷気が漂ってきます。
笑顔でお怒りの人ほど、怖いものはありません。
前世にもいたなぁ、このタイプ。
絶対怒らせちゃダメだし、敵に回しちゃいけない人だよ。
今回、味方だからかなり心強いけれどね。

「あぁ。ダメ親が親と出てこないように、ってことですね」

にこやかに話している辺境伯様とルーチェさん。
親戚っていうけど、この二人めちゃめちゃ同じタイプの人だよ。
怒らせたらダメな人達だよ!

「クランツのところは、男の子ばかりでしょう? 基本的には、ルーチェ様が見るけれど。世間的な養育は、あなたと辺境伯夫人にお願いしたいのよ」

そこに、にっこりリーネも口を出しました。
あぁ、リーネはずっと私のお世話をしてくれていた。
あの環境を、良しとしていないのはなんとなく知っていたけれど、結構怒っていたのね。
優しい、リーネとあの家で過ごせていた私は、親はなくとも幸せだったのだと思う。

「そもそも、届もない子がいるなんて驚きだよ。シーナちゃん、君が良ければ、この家が君の新しい家族になろう。どうかな?」

辺境伯様は、一応貴族の出だけれど、存在していない者にされている私を受け入れてくれるらしい。
産んだ人たちは、よっぽどおかしかったのでは? とここに来て初めて思う。
捨てられたのは、私にとっては実はいい門出だったのかも。

「私、いいんですか? シーナって名前しかないけれど」

そんな私の言葉に、辺境伯様はグッと顔をしかめた後で、私に微笑んで言った。

「君は、利発さもある賢い子だね。もちろん、大おばあ様の後継ぎとしても、この辺境を治める領主としても。そして、君の新しい親として、ここに君が住まうことを歓迎するよ」

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