異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!
そんなマーガレットさんの言葉にクランツさんもリーネも、ルーチェさんも頷きます。

「マーガレットが味方になれば、恐れるものはなにもありませんね。シーナ様はこれで、安全な生活が送れます」

リーネの一言に辺境伯夫妻が頷き、そして話が戻る。

「それで、マーガレット。この子に新たな名前を贈って、この家に迎えようと思うんだよ」

「まぁ! とっても素敵! どんな名前が良いかしらね」

二人は、一気に私の名前をあれでもない、これでもないと考え始めた。
そして、被った名前が出たのが三つ目だった。

「シェーナリンデ!」

被った二人の叫びに、リーネとルーチェさんが満足そうな顔をした。

「良い名前だと思うわ。略称をそのままシーナに出来るから、この子も大丈夫でしょう」

ルーチェさんの言葉に大人たちは頷き、そしてマーガレットさんが抱っこのままで顔を合わせて、私に言った。

「今日から、あなたの名前はシェーナリンデ・ガルムトア。このガルムトア辺境伯家の末娘です」

そうと決まれば、クランツさんとマーガレットさんの行動は早かった。
この領地の決済はクランツさんの仕事だから、養子縁組の書類を出して、サクッと孤児院から私を引き取ったという書類を作成。

書類を書くのはマーガレットさんと、いつの間にやら来ていた執事らしい男性。
そして、出来上がった書類に領主の印をクランツさんがポンと押して完成。

そして、その書類一式をもって馬に乗って教会へとやってきた。

領主のお屋敷から馬で駆けること、十分ほど。
街並みの中にある、教会は堅牢な石作りの建物だった。

「司祭はおられるか?」

教会のドアを開いて、マーガレットさんが声を上げれば、祭壇横のドアが開いて祭司服のおじいさんが出てきた。
年代的にはリーネと同世代に思える。

「おや、領主さま。どうなさいました」

そんな祭司のおじいさんに、クランツさんが言った。

「我が家に、娘を迎えたんだ。ただ、孤児で生まれが分からないが、たぶん六歳だろうと思う。魔力検定を受けられないだろうか?」

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