不器用同士
チラッと後ろを振り返ると、小さな影がまだこちらを見つめていた。
優しいんだか、意地悪なんだかわからない。
私ばっかり見透かされて、あっちは何一つ見せてくれないなんて。
「…悔しい」
ボソリと小さな声で独り言をこぼした。
「お客さん?何か言いました?」
「あ、いえ…なんでもありません」
「そうですか。お客さんいいですねー、すごく愛されてますね」
バックミラーを見ながら言う運転手のおじさんは相楽くんの姿が見えたのだろうか。
「いや、そういうのじゃ…」
「ちなみにお代も彼からお支払い頂きますので、ご心配なく」
優しそうな笑顔のおじさんとミラー越しに目が合った。
なんてスマートな!
脳裏に相楽くんがキザな笑みを浮かべているのが過った。