不器用同士


重なり合った手に意識が行き、すぐ手を離す。



「お、おはよう」



今日も完璧にセットされた髪に緩く着崩した制服。


目の前の男は黙っていれば王子様みたいな容姿。


喋れば途端にホストっぽく見えてくるが。



「鮭おにぎり好きなの?」


鮭おにぎりをはいっと渡してくる。


「いや、いいよ。先に相楽くんが取ったんだし」


「俺はなんでもいいから、ね?」


ニコリと笑い、私の手を取って渡してきた。



「ありがとう」


譲ってくれたからお礼を言ってその場から離れる。



そういえば相楽くんも遅刻なのかな。



レジに並び、すぐ後ろに並んできた相楽くんをチラッと見る。


「なに?」


「あ、相楽くんも遅刻?」



私に視線に気づいた相楽くんが少し顔を近づけてきた。



すぐ目の前にある整っている顔をつい凝視してしまう。



…昨日から思ってたけどこの人の距離感、近すぎるんだけど。

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