篝火
佐橋雄馬は悪魔だ
「えー、天体観測中に誤って事故で落下した佐橋と茂木だが…本件を受けて今後、当面の間登校中野外授業や必要最低限の屋外への外出は控えるものとします。
二人の死は絶対に無駄にしないように」
天使の皮を被った
自分を晒さない物事の真髄を付いた悪魔
「…ひどい…茂木に殺されたんだよ佐橋くん…」
「私すごい好きだったのに…」
「いい奴だったのにな…」
「一同、黙祷」
私が目を閉じて二人の死を嘆いたとき
どちらに寄り添っていたのだろうか
「お前なんで生きてんの?」
「むーりーまじ消えてくださーい」
「キモいんだけどマジで」
「ごめんなさい…、ごめ、」
黙祷を捧げた三週間後には学校には以前通りの日常が巡り、佐橋とは違うハーフの男の子が編入してきた。碧い瞳に整った顔を女子達はすぐさま王子だ、推しだと謳い今日も彼を持て囃している。
いじめられっ子の押井くんは時折私に助けてを目で訴えてくる。私はどこの誰にも加担しないことを彼はきっと見抜いているのかもしれない。私は机の下でスマートフォンをタップする。
《おはよう押井くん》
《おはよう立河さん》
《大丈夫》
《大丈夫だよ》
《金澤のこといつ殺す?》
椅子の背もたれの後ろでVサインをする押井くんの手を頬杖をついて見物する。
そのとき決まって真ん中の席の金澤くんが振り向いて笑うから、私は微笑んで、しきりに鳴らしていたボールペンのノックを赤に切り替えた。