翔んでアルミナリア
「うん…」
彼が言うように、現実にしてはこの場所はどこか変だ。作り物めいている。

「兵士たちはモブキャラなんだ。だから顔や表情に個性がない」

そんなバカなと否定したい一方で、いくつかの疑問の辻褄が合ってゆくことに背すじを寒気が走る。
お姫様、兵士、石の牢屋…わたしの乏しい知識に照らし合わせても、ゲームのファンタジー世界に登場しそうだ。

「あの庭園を見たときから引っかかってたんだけど、確信に変わったのは、あのお姫様が口にした名前なんだ」

たしか “マリス” と言っていたっけ。

「俺が作ったキャラクターの名前なんだ。ちなみにあのお姫様の弟っていう設定で。いくらなんでも、そんな偶然ってありえないだろ。ここは俺がゲームの中で作った世界なんだ」

蓮くんの瞳は昏い光を宿している。冗談を言っているわけではなさそうだ。

「ちなみに、あのお姫様って誰なの?」
疑問は山ほどあったけど、とりあえず手近なところから尋ねた。

エレオノア姫、と淡々と返ってくる。
「アルミナリア帝国の皇帝の寵姫っていう設定」
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