翔んでアルミナリア
「取られるって…あの、こないだの上原くんはただのクラスメイトだよ」
なぜかわたしのほうが弁解をしている。

「時間とタイミングの問題だ。じきに実花子は誰かのために浴衣を着て夏祭りに出かけるようになって…俺は置き去りで」

「蓮くん…」
正直どう受け止めていいか分からない。

「ごめん、中二病で」

中二病…そうか蓮くんは中学二年生か。ぼんやりと聞いている。

「あの言い伝えは本当だったんだな」

「言い伝え?」

「櫓祭りの篝火に、邪なことを願ってはならないっていう。禁忌を犯すと神隠しに遭ってしまう。俺の願いはたしかに叶ったけど…たぶん俺たち現実の世界では行方不明扱いになってるんじゃないかな」

「あれは…ただ火が燃えているだけでしょ?」
そんなバカな。

「櫓祭りの歴史はけっこう古かった。百年も二百年も人が信じ続けてきたんだ。それだけ続くってことは何かしらの霊験はあるだろうし———現に俺たちはこうなってる」
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