翔んでアルミナリア
神隠し、行方不明…いきなりいなくなって、お父さん、お母さん、どんなに心配しているだろう。
自分の身に降りかかった出来事が、あらためて現実として迫ってきた。

不意にぼろっと涙がこぼれた。一度涙が出ると、堰を切ったようにあふれてきた。

「ごめん」と悔恨をにじませて、彼がつぶやく。
「俺のせいだ」

不思議と、彼への怒りや憎しみのような感情はわいてこなかった。
この理不尽な境遇を分かち合える、唯一の存在だからか。彼の名前にかけてるわけじゃないけど、まさしく一蓮托生になってしまった。
泣くことしかできないこの状況で、蓮くんの存在だけが救いで支えだった。

なにより彼は、正直にすべてを話してくれたのだ。口をつぐんでいることもできたのに。
そんなもろもろは、嗚咽で言葉にできなかったけれど。

木のベンチの摩擦音で、彼が体を寄せてくるのを感じる。
泣いているわたしの体を、蓮くんが座ったまま両手を回して抱きしめる。
身長こそ伸びたけど、まだ少年だ。わたしを抱く腕は細く、顔を預ける胸板は薄い。
< 29 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop