綺桜の舞う
44.真っ白な嘘
「3人も、強い子が上がってくるとは思わなかったね」


1人は、先進んじゃったし、と呟いた女の子。
確か名前は琥珀ちゃん。
ここの人間達の黒地に派手な柄の特攻服とは違って、簡素な白の特攻服。下に巻いたサラシの黒いのがすごく緊張感をそそる。
ユッキーと2人で話してる時とは全く違う話し方、ここのお姫様って感じ。


「君はここのなーに?」
「……なんなんだろうね。ボクもわかんない」
「夏の抗争にいたのはなんで?」
「薫風が行ってきてって言ったからだよ」
「へぇ、あの私利私欲しかなかった抗争に?」
「もともとああなる予定じゃなかったよ。鬼王の総長が勝手にやっただけ。だから2回目があったでしょ。鬼王の襲撃」
「それにしてもだよ、君、ここでお姫様みたいな立場でしょ?
構成員って感じではない」
「……残念だけど、これに関してはボク、ずっと嘘ついてた。
幹部でも姫でもなければ、正規の構成員でもない気がするけどボク、」

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