My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】

 今朝、術を使って倒れたアジルさん。
 私も初めて歌で空を飛んだとき失敗して危うく死にかけた、あのときの恐怖が蘇りぞくりと震えが走った。

「計画はこのまま頓挫かと思われた。だがその頃、この場所から削り出した純度の高いレーネの石を身に着けていれば一時的に力が安定、増幅することがわかった」
「!」

 私は薬指の青く輝く指輪を見つめる。

「そして、漸く部隊と呼べるほどの魔導術士が揃った頃にあんたたちストレッタの調査隊がこの街にやってきた。あの人はこれは好機と、手始めにストレッタの魔導術士たちと儂らを戦わせようとした。……今となっては、儂はあの人があんたたちを呼んだんじゃないかと思っているが……。だがなぜか皆力が暴走し、街は一瞬にして火の海に包まれた」
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