片思いー終わる日はじめる日ー
 何度も何度も何度もお風呂で身体をこすった。
 真っ赤になるほど。
 疲れて腕が上がらなくなるほど。
 
 キタナイ アタシ

 あたしは絶対一瞬ほっとした。
 喜んだ。
 (ばく)の気持ちなんて考えもしないで。
 汚い。
 汚いよ、相田(あいだ) 有実(ゆみ)

 鏡に映ったあたし。
 卑怯者(ひきょうもの)の醜いあたしが見えなくなるまで、シャンプー攻撃。

 * * *

 朝のHRのとき河島からはなんの説明もなかった。
 そんなもん、か。
 麦の姿が見えなくて心配しているのは、大海ちゃんくらいだ。
「めずらしいね、赤根(あかね)くん、お休みなんて」
「うん……」
 2学期も終盤の今、試験前になるとわざと休んで家で勉強する子がいることもわかってきた。
 今日も4人欠席。
 試験の点数しか載らない成績表の仕組みに気づいた、推薦で大学に入りたい子たちはおりこうさんに立ち回る。
 だから、麦の欠席なんて気にもならないのかもしれないけど。
「…………」
 いいの? 相田 有実。
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