夢みたもの
今のは何?


戸惑うあたしの頭の中で、堰を切ったように、記憶の断片が溢れ出す。



『ごめんね・・・・一緒に居られなくなった』


『どんなに離れてても 忘れないよ』


『必ず戻ってくるから』



矢継ぎ早に頭の中に浮かぶ言葉。



1人だけじゃない。

何人かが、あたしに向かって話しかけた言葉。



優しくて 優しくて・・・・

優し過ぎるから、耐えられなかった。

幸せ過ぎたから、失う事に耐えられなかった。



あたしの居場所はどこにもないと思い知った。




そう。

あれは・・・・

あれは確か、今の家に住むより前。

あたしが6歳の時。



初めて幸せを感じることが出来た、ほんの一時の記憶。



「・・・・・」



いつの間にか、あたしの頬には涙が伝っていた。


ぽたぽたと落ちる涙が、膝の上で握り締めた手の甲を濡らす。

でも、あたしは涙を拭う事も忘れて、ただ前を見つめる事しか出来なかった。



涙で視界がぼやけて、目の前の彼が何重にも見える。

その中に、幼い少年の姿を見た気がして、あたしは無意識に呟いていた。



「・・・ユーリ?」


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