夢みたもの
「違うよ」


ひとしきり笑った後、目に浮かんだ涙を拭いながら、男の子はそう言って微笑んだ。


「僕は、ユーリ」

「ゆーり・・・?」

「うん。人間だけどね?」


ユーリはそう言って楽しそうに笑うと、読んでいた本をパタンと閉じて、座っていた椅子から飛び降りた。


「待ってて?今、お父さんとお母さんを呼んでくるから」

「・・・・・」


どう見ても日本人には見えない。

それなのに、綺麗な声で日本語を話すユーリが不思議だった。


「・・・変なの」


ユーリが出て行ったドアを見つめていたあたしは、そう呟いて、ハッとして周りを見回した。


ユーリの存在にすっかり安心していたけれど、今、自分が置かれている状況に、不安を感じずにはいられなかった。



あたしはこれからどうなるんだろう・・・・

もう施設へ連絡はいったのだろうか?

既に誰かが、迎えに向かってきているのかもしれない。



部屋の外からは「お父さん お母さん」と呼ぶユーリの声が聞こえてくる。


あたしは枕元に置いてあったウサギのぬいぐるみを引き寄せると、両腕でしっかり抱き締めて目をつぶった。


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