夢みたもの
「あぁ、目が覚めたんだね」


程なくドアが開いて、数人の足音が聞こえてきても、あたしは顔を上げられずにいた。


「大丈夫。心配しなくて良いんだよ」


優しい声が聞こえて、あたしの頭に手が置かれる。

反射的に体がビクッと震えた。


おそるおそる目を明けると、目の前には、庭であたしに声をかけた外国人が優しく笑って立っていた。


「ひなこちゃん・・・だね?」

「・・・・・」


どうして名前を知っているんだろう?

あたしは警戒しながら、目の前の優しそうに笑う外国人を見上げた。


そんなあたしに気付いたのか、その人は少し苦笑すると、あたしの服の上着を指差して言った。


「ごめんね。連絡先を調べる為に、ポケットに入っていた手紙、読ませて貰ったよ?」

「・・・・!!」



‥‥やっぱり駄目だった。


その言葉を聞いた瞬間。

あたしは、施設に連れ戻される事を覚悟した。



きっと今頃は、迎えがここに向かってる。

もしかしたら、もう門の処まで来ているかもしれない。



‥‥駄目なんだ。

どんなに逃げても、あたしはあの場所から逃げられない。


僅かな希望が無くなったあたしは、ただ、ぬいぐるみを抱き締めてうつむく事しか出来なかった。



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