夢みたもの
「だって、連絡して欲しくなかったでしょう?」


そう言って首をかしげると、女の人はあたしの頭から手を離して、頬に伝った涙の跡を拭ってくれた。


「・・・でも・・・」


そう呟いたあたしに、優しく笑いかける。


「もしかしたら私達、あなたの助けになれるかもしれないって思ったの」

「助け?」


「そう」と言って頷くと、女の人は真面目な表情になってあたしを見た。


「手紙を読ませて貰って、あなたの今の状況は何となく分かったわ。ひなこちゃんは、今いくつ?」

「・・・6歳」

「そう。手紙に書いてあった約束はとっくに過ぎているのね?」


確認するようにそう言うと、女の人は小さくため息を吐いて、少し寂しそうに笑った。


「寂しかったわね」


その言葉に、あたしはまた涙がこぼれそうになって、慌てて下を向いてごまかした。



あたしが持っている手紙。

それは、母からの手紙だった。


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