夢みたもの
「もちろんよ」

「やったぁ!!」


そう声を上げて走り寄ってきたのはユーリだった。


「僕、こういう可愛い妹が欲しかったんだ!」


そう言ってあたしの頭を撫でると、ユーリは嬉しそうに笑う。

屈託のない笑顔が眩しくて、あたしは恥ずかしさで顔が熱くなった。


「僕のピアノ聴かせてあげる。こっちにおいで!」

「まって!」


ユーリに引っ張られるまま数歩歩きかけたあたしは、その声に驚いて振り返った。


「ユーリ 話は全部終わってないのよ?ピアノは後で聴かせてあげなさい」


女の人と外国人は顔を見合わせて頷くと、あたしの前に進み出て、あたしと目線が同じになるように屈んだ。


「あのね ひなこちゃん?この家で暮らして良いのは本当よ?むしろそうして欲しいと思ってる」


「でも・・・」そう言い淀んだ言葉を繋ぐように、外国人が前に出てきて言った言葉は、あたしの予想を超えるものだった。


「一緒に暮らしても、君を養女にする事は出来ない」


そう言った外国人は、あたしの表情が陰った事に気付いたのか、「ただね」と言ってあたしの頭に手を置くと優しく笑った。



「君のお母さんを捜したいと思ってる」


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