夢みたもの
「そんな事ないです。あたし・・・人に迷惑かけてばっかりだし・・・」

「そう?」


崇さんはそう言うと、ピアノの前に座ったユーリを眩しそうに見つめた。


「それは、自分で決める事じゃないと思うよ?」

「・・・え?」


あたしが顔を上げた時、ユーリの演奏が流れるように始まった。



有名なピアノソナタ。

所々にアレンジを加えながら、ゆったりした曲調の曲が店内に響き渡る。


崇さんは目を閉じて満足気に微笑むと、頬杖を解いてソファに深く座り直した。


「ひなこちゃんが取った行動が、仮に、何も考えていなかったとしても、周りの人が喜んだり、安心したりする。それって、充分役に立ってるって事だと思うな?」

「でも・・・」

「少なくとも・・・悠里は喜んでる。ピアノを聴けば分かるよ」


「感情が入るからね」崇さんはそう言って、小さく笑った。


「色々あったけど・・・、ひなこちゃんに再会して、悠里がまた笑えるようになったら・・・・そう期待してしまうんだ」

「・・・・・」


ピアノに向かうユーリを眺めていたあたしは、その言葉にハッとして、崇さんを見た。



この人なら、ユーリに起こった事を知っている。

あたしは息を飲むと、気になって仕方ない事を口にした。



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