夢みたもの
「だって・・・そんな事、言われた事無いもん」


少しの間黙り込んでいたあたしは、やがて小さくそう言った。


「航平だって、自分で『幼なじみだ』って言ってるし」

「あのねぇ・・、普通の幼なじみはあそこまでベッタリしないものよ?ひなこの感覚はおいておくとして、普通、高校生にもなってあんな風にされたら、はっきり言って気持ち悪いわ」

「え?・・・そう、かな?」


あたしが肩を縮めてそう言うと、葵は肩を落としてため息を吐いた。


「まぁ、堤ファンを公言してる鞠子なら、大喜びしそうだけど」

「・・・・」

「とにかく、ひなこが気付いていないだけで、堤君の気持ちは周囲にバレバレなの。隠そうとさえしてないんだから。別に、その気持ちに応えろとは言わないけど、いい加減気付いてあげたら?」


「もうずっと待ってるわよ」最後にそう付け加えて、葵は一仕事終えたかのように、ペットボトルのお茶を飲んで一息吐いた。



「・・・そんな事言われても・・・困るよ」

「あら、だって嫌いじゃないでしょ?」

「そういう事じゃなくて・・・」


手にしたペットボトルを両手で転がしながら、あたしは深いため息を吐いた。


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