夢みたもの
美野里さんはSTRAUBのオーナーの娘で、本業はフードコーディネーターの仕事をしている。

その傍らで、店で出すメニューの開発をしたり、気が向くとウェイトレスの仕事を手伝ったりしているらしく、今度手が空いている時、お菓子の作り方を教えて貰う約束をしていた。


「でも、毎週お邪魔して迷惑じゃないのかな?」


あたしがそう言うと、ユーリは困ったように小さく含み笑いをした。



『美野里さんは、出来ればひなこに来て貰いたいんだ』



「どうして?」


首をかしげたあたしに、ユーリは苦笑しながら達筆な字をノートに書き連ねた。



『ひなこが来ると、崇叔父さんが必ず来るからね』



「・・・・?」



『美野里さんは崇叔父さんの事が好きなんだ』



「そうなの!?」


驚いて顔を上げると、ユーリは相変わらず困ったような表情であたしを見つめ返してくる。


「そうなんだ。全然気付かなかった」



『ひなこはこういう話に疎そうだね?』



「・・・-」


今日は、こんな話ばかりが続く日だ。

葵だけじゃなくユーリにも指摘されたあたしは、苦笑して誤魔化すと話を逸らした。



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