夢みたもの
そんな中であたしは、ユーリと過ごす時間が増えるに連れて、昔一緒に過ごした感覚を取り戻しつつあった。



不安を抱えていた幼い頃。

ユーリと過ごした期間、あたしは守られているという強い安心感を得た。

緩やかに流れる時間の中で、優しさに包まれる感覚。


それは、状況が変わった今でも、昔と同じようにあたしに与えられる感覚で・・・、あたしは、ユーリと過ごす時間を大切にしたいと思うようになっていた。



『そろそろ 行った方が良い』



やがて、腕時計で時間を確認したユーリは、少し寂しそうにあたしを促した。



『もうまもなく練習が終わる時間だよ?』



「あ、うん」


外はすっかり薄暗くなっている。

あたしは窓の外に視線を送ると、一息吐いて椅子から立ち上がった。


「それじゃ、また明日ね?」


小さく頷いたユーリに手を振ると、あたしは隣の音楽準備室へ続くドアを開けた。

音楽室のドアから出入りすると、人目に付いた時に誤魔化せないので、あたしは隣の準備室を通って音楽室に出入りする。


これも、ユーリがあたしの為に考えてくれた事だった。



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