夢みたもの
「航平・・・」


目を開けたあたしの横に立っていたのは、相変わらずジャージ姿にスポーツバックを斜め掛けした航平だった。


「お待たせ」


人懐っこく笑いながら、航平はあたしの隣の席に腰を下ろす。


「帰るんじゃないの?」

「うん、その前にちょっと休憩」


航平はそう言うと、頬杖を付いてあたしに笑いかけた。


「・・・なに?」

「ひなこさぁ・・・、今日の午後、何かあった?」

「・・・え!?」

「午後の授業、ひなこにしては珍しく、上の空だったでしょ?」

「・・・・・」

「何か悩み事でもあるの?」

「・・・・・」



『幼なじみを超えた存在として、堤君はひなこの事が好きなのよ』


葵の言葉を思い出したあたしは、慌てて首を横に振った。



ないないない。

それだけは絶対にない。



「ひなこ?どうした?」

「うぅん・・・何でもないの!何もないよ!?」


顔が熱くなっていくのを感じる。

改めて思い返すと、恥ずかしくて堪らなかった。


「ふぅん?それなら良いんだけど・・・」


そう言いながら、あたしの顔を覗き込んできた航平の視線を避けるように、あたしは勢いよく椅子から立ち上がった。



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