夢みたもの
「・・・さ、帰ろっか?」


興味深そうに本をめくっていた航平は、やがてパタンと音を立てて本を閉じた。

そして、本を棚に戻した航平は、あたしを見て眉根を寄せると、小さく首をかしげた。


「ひなこ?具合悪い?」

「・・・え?」


航平に真っ直ぐ視線を向けられて、あたしの鼓動が一瞬、大きく跳ね上がる。

思わず航平から視線を外すと、あたしは勢いよく首を横に振った。


「そんな事ないよ!?」

「でも、顔 赤いよ?熱でもあるんじゃない?


そう言ってあたしの額に伸ばされた航平の手を、あたしは咄嗟に避けた。


「・・・や、ちょっと・・・なに!?」

「何って、熱測るだけだよ?・・・動かないで」


航平に肩を押えられて、あたしは動く事も出来ずに立ち尽くした。

そんなあたしに、航平は心配そうな表情で額に手を当てると、ほっと息を吐いた。


「熱は無いみたいだね」

「だから、何でもないって言ってるじゃない・・・」

「でも、午後から様子おかしかったし」


航平はそう言うと、ニッコリ笑ってあたしの頭に手を置いた。


「それじゃ、帰ろっか?」

「・・・うん・・」


航平の言葉にあたしは小さく頷くと、出来るだけ顔を上げないようにして歩き始めた。



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