夢みたもの
その時。

ちょうど校門を出た処で、あたしは視界に入った人物に視線を奪われた。


視線の先には、駅に向かう道を一人歩いて行くユーリ。

脇目も振らず飄々と歩く姿は、他の何物も寄せ付けない雰囲気を醸し出している。


今のユーリであれば、それは彼らしいと思える雰囲気だけれど・・・

あたしには、その様子がとても寂しく思えた。


「・・・・・」


声をかけたい衝動を抑えて、ただ、ユーリの後姿を見つめる。



いつかまた、ユーリに心から笑って欲しい。

その為にあたしが出来る事があれば、どんな事でもするから・・・・・



ユーリの後姿を見つめながら、もう一度強く決心したその時。

ふと視線を感じたあたしは、ユーリから視線を外してまばたきをすると、視線を感じる方に顔を向けた。


「・・・・!!」


その瞬間。

ついさっき落ち着いたばかりの鼓動が、再び大きく跳ね上がった。


あたしの視界に入ったのは、今まで見た事がない表情をした航平。

少し不機嫌そうに、戸惑いと悲しみをない交ぜにしたような表情で、航平はあたしを見つめていた。


「・・・・・」


その切ない表情は、航平の整った顔立ちをより一層色っぽく際立たせる。

あたしは惹き込まれるように、航平に見入って動けなくなった。



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