夢みたもの
「・・・航平?」


航平から視線を外す事が出来ないまま、あたしは小さく声をかけた。


「・・・どうしたの、航平?」


その声に、航平はハッとしたようにまばたきをすると、さっきまでの表情を崩して、慌てたように笑った。


「ゴメン。ちょっとぼーっとしてた」

「・・・うん」

「じゃ、帰ろっか」


そう言って先に歩き出した航平の背中を見つめながら、あたしは小さく息を吐いた。



航平の様子がおかしいのは、たぶん・・・あたしがユーリを見ていた事に気付いたから。

それしか考えられなかった。


せっかくユーリが人目に付かないようにと気遣ってくれているのに、ふとした処からボロが出る。

自分の間抜けさに呆れて、ため息がこぼれた。



「ねぇ、ひなこ?」

「え?」


前を行く航平が、ふいにあたしを振り返って苦笑した。


「あのさ・・・」

「うん?」

「・・・・・」


珍しく言いよどんでいる航平に、あたしは首をかしげた。


「なに?どうしたの?」


航平は唇を開きかけては止め、何度か言いよどんだ後、思い切ったようにあたしを見て口を開いた。


「ひなこはさ・・・・誰かを好きになったりしないの?」


「・・・・え?」



それは、思いがけない質問だった。



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