夢みたもの
航平の口からそんな言葉が出たのは初めてだった。


あたしの抱えている事情を知っている航平は、今までからかい半分にそれらしい事を言ったりする事はあったけれど・・・・

今のこの状況は、からかっているとは思えない。


あたしは、緊張と不安で速くなった鼓動を抑えながら、出来るだけ平静を装って首をかしげた。



「何で・・・そんな事聞くの?」

「ん〜、ま、なんとなく?」


航平は、少しわざとらしくニッコリ笑った。


「ほら、俺達って一応、もう高2だしさ?」

「・・・だから?」

「そろそろ、こういう話をしても良いんじゃないかなぁ〜・・・なんて思って」

「・・・・」


「そういう相手、・・・・居ないの?」


真っ直ぐな視線を送ってくる航平は、何処かいつもよりぎこちない。


それが緊張の為だと気付くのは、もう少し後の事で・・・


その時のあたしは、そんな事を考える余裕も無くて、ただ、航平の視線に絡め捕られたように動けなかった。


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