夢みたもの
「カスタードクリームはお好みでどうぞ?」


粗熱を取ったシューを前に、絞り袋に入れたカスタードクリームをあたしに手渡しながら、美野里さんは味見用で作ったシュークリームを頬張った。


「うん、いい感じよ?」

「ホントですか?・・・って言っても、難しい処は美野里さんがやってくれたから、失敗する筈無いですけど」

「あら?こういうのは気持ちの問題なのよ?」


美野里さんは、自分もカスタードクリームを詰めた絞り袋を手にして言った。


「ひなこちゃんが初めて作ったシュークリームって処に付加価値が付くの。食べた相手が喜んでくれればそれで良いのよ」


「事実、悠里君は喜んでくれるわよ?」そう付け加えた美野里さんは、あたしを見てニヤニヤ笑った。


「2人を見てると、青春って感じで胸がキュンとするわ」

「も~、そんなんじゃないです!」


あたしは、何度目か分からない否定の言葉を口にした。


思い返せば初対面の時から、美野里さんはあたしとユーリの仲を誤解している。

そして、事ある毎に話題にするので、あたしはその度に否定と訂正を繰り返すのだった。


「照れない、照れない。お似合いよ?」

「だから、違います!!」


シューにカスタードクリームを絞り出しながら、あたしがそう言った時。

裏口のドアが開いて、人が入ってくる気配がした。


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