夢みたもの
「お、やってるね?」


その声に振り返ると、眠そうな顔をした崇さんが調理台の上を眺めている処だった。


「何か・・・女の子って感じで良いね」

「その言葉、私も含まれます?」


挨拶もそこそこに、美野里さんがそう言って笑った。


「もちろん。美野里さんも可愛らしいよ?」

「『可愛らしい』って・・・それ、誉め言葉ですかぁ?」


口を尖らせた美野里さんに、崇さんは声を上げて笑い返す。

そんな2人のやりとりを聞きながら、あたしは黙々と手元のシューにクリームを詰めていった。



『美野里さんは 崇叔父さんの事が好きなんだ』



ユーリがそう言っていた事を思い出して、この場に居る事が気まずかった。



「おはよう」

「・・・あ、おはようございます」


隣に来て手元を覗き込んだ崇さんに、あたしは慌ててそう答えた。


「美野里さんの説明は分かりやすい?テンポが速くて大変でしょ?」

「え?いえ、楽しいです」

「だって。良かったね 美野里さん?」

「あの・・・一応、本業なんですけど?」


ため息混じりにそう言った美野里さんは、それでも嬉しそうに頬を染めている。

その様子を伺いながら、あたしは黙々と作業に徹する事にした。


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