夢みたもの
「その様子だと、また徹夜ですか?」


眠そうにあくびをした崇さんに、美野里さんは手を止めて笑った。


「コーヒー淹れます?」

「ありがとう。美野里さんは気が利くね?」

「女らしい処もアピールしないと。ひなこちゃんの隣に居たら、私は霞んじゃいますもん」

「はは、そんな事ないよ?美野里さんは充分魅力的だって」

「心がこもってるようには聞こえませんけど?」


伸びをしながら答えた崇さんに、美野里さんは相変わらず頬を染めたままで苦笑した。


「コーヒーのご希望は?」

「濃いめで」

「了解です。エスプレッソぐらい、濃〜いの淹れてきますね」


美野里さんはそう言って笑うと、店内に続くカウンターの中に入って行った。




「ひなこちゃん、悠里は?」


空いている椅子を引っ張って座り込んだ崇さんは、本当に眠そうにあくびをかみ殺しながら言った。


「昨日からアトリエにこもりっきりで会ってないんだよね」

「ユーリなら、ソファの処で楽譜を見てると思いますけど?」

「そっか・・・」


小さく頷いた崇さんは、あたしを見て嬉しそうに笑った。


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